アート

糸の宝石

“アンティークス タミゼ”店主の吉田昌太郎が、パリの蚤の市で出会った美しいレース編みと図案帖の数々。
ひもとけば、そこには、惹きつけられただけの深い歴史と、ある一家の優美な物語が秘められていました。
かつて西洋では、レースが宝石にならぶステイタスであったこと、
レース編みを上手にすることが、美しい手紙を書くこと同様、女性のたしなみであったこと、
そして、その記録を標本のようにのこすことがヨーロッパのよき家庭の大切な約束事だったこと……
ダンボール箱に無造作に放り込まれていた一群のものから紡ぎだされた物語とともに、
のこされていた繊細な手編みレースすべてを紹介し、『糸の宝石』という本ができあがりました。
「古いものの楽しみは、同じように好きだと感じてくれる人とその物語を共有することにある」という編者。
レース編みを愛する人には貴重で愛おしい図案集として、
古いものを愛する人には遠い時間に思いを馳せるインスピレーションソースとして、
そして、美しいものを愛する人には所有するだけでうれしい1冊になるにちがいありません。
ひもとけば、そこには、惹きつけられただけの深い歴史と、ある一家の優美な物語が秘められていました。
かつて西洋では、レースが宝石にならぶステイタスであったこと、
レース編みを上手にすることが、美しい手紙を書くこと同様、女性のたしなみであったこと、
そして、その記録を標本のようにのこすことがヨーロッパのよき家庭の大切な約束事だったこと……
ダンボール箱に無造作に放り込まれていた一群のものから紡ぎだされた物語とともに、
のこされていた繊細な手編みレースすべてを紹介し、『糸の宝石』という本ができあがりました。
「古いものの楽しみは、同じように好きだと感じてくれる人とその物語を共有することにある」という編者。
レース編みを愛する人には貴重で愛おしい図案集として、
古いものを愛する人には遠い時間に思いを馳せるインスピレーションソースとして、
そして、美しいものを愛する人には所有するだけでうれしい1冊になるにちがいありません。

記録として
糸と女
レースの使いみち
ディジョンの名家、ランジュロン家
雑誌『La mode illustr´ee』について
家族のアルバム
糸と女
レースの使いみち
ディジョンの名家、ランジュロン家
雑誌『La mode illustr´ee』について
家族のアルバム
吉田昌太郎
1972年、母の実家である東京で生まれ、栃木の黒磯でキャンプ、釣り三昧で育つ。18歳で東京に移り美術学校で工業工芸デザイン(テキスタイル、陶芸)を学び、卒業後テキスタイルデザインの会社を経て、その後いくつかのアルバイトを重ね(彫刻、グラフィックデザイン、本屋など)、
1996年から骨董屋にて4年間修行する。
2001年より麻布十番にて「antiques tamiser」をオープンさせる。
2005年に現在の恵比寿に移る。
2009年秋、栃木県黒磯駅前に「tamiser kuroiso」をオープン。
黒磯と東京を行ったり来たりの生活がはじまる。
antiques tamiser
150-0022東京都渋谷区恵比寿南2-9-8落合荘苑ビル101
Tel/Fax03-3792-1054
www.tamiser.com/
(本書より)
1972年、母の実家である東京で生まれ、栃木の黒磯でキャンプ、釣り三昧で育つ。18歳で東京に移り美術学校で工業工芸デザイン(テキスタイル、陶芸)を学び、卒業後テキスタイルデザインの会社を経て、その後いくつかのアルバイトを重ね(彫刻、グラフィックデザイン、本屋など)、
1996年から骨董屋にて4年間修行する。
2001年より麻布十番にて「antiques tamiser」をオープンさせる。
2005年に現在の恵比寿に移る。
2009年秋、栃木県黒磯駅前に「tamiser kuroiso」をオープン。
黒磯と東京を行ったり来たりの生活がはじまる。
antiques tamiser
150-0022東京都渋谷区恵比寿南2-9-8落合荘苑ビル101
Tel/Fax03-3792-1054
www.tamiser.com/
(本書より)

★★★★
乙女の手しごと―レースをめぐる物語
2012/11/12

編者の吉田昌太郎氏は、東京恵比寿の骨董のお店「antiques tamiser(アンティークス タミゼ)」の店主。
『糸の宝石』は、氏がパリの蚤の市で見つけた、古いレース編みのサンプルと図案帖を紹介した一冊です。
巻頭に、編者の、このレース編みを見つけて本にすることになった経緯を記した短い文章があり、次に「糸と女」と題する鈴木るみこさん(雑誌クウネルでおなじみ)の文章で、ヨーロッパにおけるレース編みの歴史が紹介されています。
そしてこの本の大部分を占めるのが、レース編みのサンプルと図案帖の写真。
レースのサンプルがしまわれていた封筒の表書きなどから、これら美しい作品群は、フランスはディジョンの名家、ランジュロン家の子女たちの手になるものと推測されるようです。
ですが写真には、解説がついていません。たとえば図案帖にはレースのサンプルが貼られて、繊細な筆跡でフランス語が綴られているのだけれど、何と書いてあるものやら、皆目わからない…(いや、フランス語読める人は問題ないのでしょうが)。
なので、ただ眺めるだけ。黒いバックに、白いレースのサンプル。その図案の美しさ。図案帖の筆跡さえも美しく、どんなエレガントな女性が、どんなたおやかな乙女が、どんなかがやく目をした少女が、これをしたためたものか、想像してみずにはいられない。
吉田昌太郎氏は、巻頭で 「古いものを見る楽しみは、同じように好きだと感じてくれる人と一緒に、ああでもない、こうでもないと、背景を想像して語り合うことにある」と述べています。
「糸の宝石」をめぐる物語を想像することの、何という贅沢さ。
解説をつけてほしかったような気もするけれど、素材を美しく並べただけのこのシンプルさが、さすがは「antiques tamiser」店主のセンス、なのかもしれません。
『糸の宝石』は、氏がパリの蚤の市で見つけた、古いレース編みのサンプルと図案帖を紹介した一冊です。
巻頭に、編者の、このレース編みを見つけて本にすることになった経緯を記した短い文章があり、次に「糸と女」と題する鈴木るみこさん(雑誌クウネルでおなじみ)の文章で、ヨーロッパにおけるレース編みの歴史が紹介されています。
そしてこの本の大部分を占めるのが、レース編みのサンプルと図案帖の写真。
レースのサンプルがしまわれていた封筒の表書きなどから、これら美しい作品群は、フランスはディジョンの名家、ランジュロン家の子女たちの手になるものと推測されるようです。
ですが写真には、解説がついていません。たとえば図案帖にはレースのサンプルが貼られて、繊細な筆跡でフランス語が綴られているのだけれど、何と書いてあるものやら、皆目わからない…(いや、フランス語読める人は問題ないのでしょうが)。
なので、ただ眺めるだけ。黒いバックに、白いレースのサンプル。その図案の美しさ。図案帖の筆跡さえも美しく、どんなエレガントな女性が、どんなたおやかな乙女が、どんなかがやく目をした少女が、これをしたためたものか、想像してみずにはいられない。
吉田昌太郎氏は、巻頭で 「古いものを見る楽しみは、同じように好きだと感じてくれる人と一緒に、ああでもない、こうでもないと、背景を想像して語り合うことにある」と述べています。
「糸の宝石」をめぐる物語を想像することの、何という贅沢さ。
解説をつけてほしかったような気もするけれど、素材を美しく並べただけのこのシンプルさが、さすがは「antiques tamiser」店主のセンス、なのかもしれません。
★★★
想像を楽しむ『糸の宝石箱』
2012/11/12

編者様がパリの蚤の市で見つけた、レースの図案帳を紹介なさったもので、
レシピ本ではないので、作り方は掲載されていません。
一か所だけフランス語のレシピを訳した部分がありますが、
『作ることを前提とした』というより、本当にただ『和訳した意味を伝えるため』の文章という趣です。
エッセイの部分も合計10数ページほど。後はひたすら、図案帳とレースの写真が並んでいるという、
悪く言えばそっけない印象を受ける構成になっています。
なのですが、逆に『読み手の想像に委ねている』と受け取ることもできるつくりでもあります。
エッセイからわかる当時の時代背景や物価事情
(手芸が大切な教養、雑誌は高級品だった、etc...)を合わせて考えてみると、
語られていないレースがかえって想像の余地を与えてくれます。
『糸の宝石』という雅やかな題名からも感じられたことですが、具体的な作り方云々よりも、
この図案帳そのものに強く引かれて、魅力を伝えたい、という思いから書かれた本であるような気がします。
それでも、情報量の少なさを鑑みて、評価は3。
ここから深く勉強していける、あるいは想像して楽しめるという方には、より意義ある本だと思います。
追記:写真は鮮明なので、その気になれば写真を参考に作品を再現することはできそうです。
レシピ本ではないので、作り方は掲載されていません。
一か所だけフランス語のレシピを訳した部分がありますが、
『作ることを前提とした』というより、本当にただ『和訳した意味を伝えるため』の文章という趣です。
エッセイの部分も合計10数ページほど。後はひたすら、図案帳とレースの写真が並んでいるという、
悪く言えばそっけない印象を受ける構成になっています。
なのですが、逆に『読み手の想像に委ねている』と受け取ることもできるつくりでもあります。
エッセイからわかる当時の時代背景や物価事情
(手芸が大切な教養、雑誌は高級品だった、etc...)を合わせて考えてみると、
語られていないレースがかえって想像の余地を与えてくれます。
『糸の宝石』という雅やかな題名からも感じられたことですが、具体的な作り方云々よりも、
この図案帳そのものに強く引かれて、魅力を伝えたい、という思いから書かれた本であるような気がします。
それでも、情報量の少なさを鑑みて、評価は3。
ここから深く勉強していける、あるいは想像して楽しめるという方には、より意義ある本だと思います。
追記:写真は鮮明なので、その気になれば写真を参考に作品を再現することはできそうです。
★★
実用向けではないかも
2012/11/12

内容は著者のエッセイと、著者がフランスの蚤の市で購入した1900年頃のレース編みの図案帳とサンプルのレースの写真。
図案といっても編み目記号などはなく、全てフランス語。
しかも、蚤の市で購入した手書きの図案の写真をそのまま載せただけ。
一つだけ概訳があるものの、自分にはまるでわかりません。
---以下一部引用---
編み終わりから8目めをすくってブリッドを作り、くさり5目を編んだら5目ごとにブリッドを作る作業を4回繰り返し、くさり2目、次の3目めでブリッドを作り、端までいったら裏返します。
---以上引用---
これで掲載作品が息を飲むほど美しいものなら、頑張って作ってみようとも思うのですが
現在、本屋で売っているモチーフの本に載っているような作品ばかりです。
古いレースを骨董品として楽しむ人には良い本かもしれませんが
この本を参考にレース編みをするのは正直言って無理だと思いました。
図案といっても編み目記号などはなく、全てフランス語。
しかも、蚤の市で購入した手書きの図案の写真をそのまま載せただけ。
一つだけ概訳があるものの、自分にはまるでわかりません。
---以下一部引用---
編み終わりから8目めをすくってブリッドを作り、くさり5目を編んだら5目ごとにブリッドを作る作業を4回繰り返し、くさり2目、次の3目めでブリッドを作り、端までいったら裏返します。
---以上引用---
これで掲載作品が息を飲むほど美しいものなら、頑張って作ってみようとも思うのですが
現在、本屋で売っているモチーフの本に載っているような作品ばかりです。
古いレースを骨董品として楽しむ人には良い本かもしれませんが
この本を参考にレース編みをするのは正直言って無理だと思いました。